『はるまき日記』瀧波ユカリ
江古田ちゃんの作者、瀧波ユカリ氏による育児日記。
瀧波ユカリの視点が常に第三者的でありながらも、愛娘・はるまきへの愛をひしひしと感じる良作だ!
- 作者: 瀧波ユカリ
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2014/12/04
- メディア: 文庫
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ザ・ネガティヴ人間の私は、あいかわらず産後クライシスだ、産後ウツだのの心配に余念がないのだけど、このエッセイを読むとなんだか育児が楽しみになってくる。
そっか、こういう風に楽しめばいいのね、という気になってくる。
解説の伊藤比呂美いわく、
親としてぎゅっとコブシをにぎりしめたような、不安いっぱいの繰り言は、多くないです。たいていはまたいつもの観察、はるまきのうんちや言動に終始する。日常はつづいていきます。はるまきはどんどん育っていきます。そして、どんどん可愛くなっていきます。……と、このように他人の子どもだから、客観的に言えるんですが、30年前、わたしは自分の子どもについて、そんなことは言えませんでした。言いたくもなかったんです。
そうか、最近になって産後クライシスなんて言葉ができて、取り沙汰されるようになってきているけれど、昔から産後の母は苦しさと戦ってきたんだね、と思う。
それと同時に、その苦しさを楽しめる視点が持てるか持てないか、つまり、どこか客観的に子の成長を〝観る〟ことができるか否か、が分かれ道なのかもな、とも思う。
瀧波ユカリ氏の場合は本書を読む限り、夫の育児参加がかなりいい感じなので、その点の余裕はあったんだろうけど、それを差し引いても、第三者的視点を常にもてる余裕をもっていたいなぁ。
この私の記録も、文字に起こすことで、一歩下がって少し上から、育児に奔走する自分や育っていく赤子を見ることがでかるようになるかもな、なりたいな、という意図もあって始めたもの。がんばろう。
とはいえ、まずは無事に元気に生まれてきてくれなくちゃね。「うまく回転しながら、すぽんと出てきてねー」とお腹に向かって話しかける日々である。